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仕事の中身の話

入社してからの90日は、何が起きるのか

2026.10.26 / 解説 / 読了 6分 / 文:IforC 編集部
※写真はイメージです
入社してから、最初の3か月。ここでつまずく人が、いちばん多い時期です。覚えることが多く、分からないことだらけで、自分が戦力になっていないように感じる。競技で結果を出してきた人でも、仕事では初めてのことばかりです。「自分で何とかしよう」と抱え込まず、分からないことを言葉にして聞くことが、この時期のいちばんの仕事になります。ただ、仕事の最初の3か月は、仕事を覚えることに加えて、分からないことを安心して聞ける関係をつくる期間です。そして、その期間の位置づけは、法律である程度決まっています。先に知っておけば、不安の半分は減ります。
最初の3か月は、覚える期間ではなく、聞き方を覚える期間です

1. 試用期間は「お試し」ではありません

「試用期間」と聞くと、会社が自分を試している期間だと思うかもしれません。半分は当たっていますが、半分は違います。

労働契約は、入社した日から始まっています。試用期間中でも、あなたはその会社の従業員です。フルタイムで働く場合、社会保険は入社日から加入するのが原則ですし、労災保険は試用期間中でも適用されます。会社が「試用期間だから」と言って、雇うかどうかを自由に決められるわけではありません。

期間の長さも、法律で決まっていません。3か月の会社もあれば、6か月の会社もあります。ただし、必要以上に長い期間が無制限に認められるわけではありません。だから、入社前に確認しておくべきことが1つあります。試用期間のあとに、何がどう変わると本採用なのかです。口頭ではなく、労働条件通知書に書かれているかを見てください。労働基準法第15条は、賃金・労働時間・契約期間などの主要な条件を、書面で明示することを会社に義務づけています。

確認すること見るところ
試用期間の長さ労働条件通知書の「試用期間」欄
本採用の条件「試用期間満了後、勤務成績・業務能力を考慮して判断」などの記載
試用期間中の賃金基本給と違う場合は、その額と理由
社会保険入社日から加入か、試用期間後か

2. 試用期間中でも、解雇には手続きが要ります

もう1つ、知っておくと気が楽になる話です。

労働基準法第21条は、試用期間中の人を、解雇予告の規定(同法第20条)の外に置いています。ただし、雇い入れから14日を超えて引き続き雇用されている場合、この例外は当てはまりません。原則として30日前の予告か、不足する日数分の平均賃金に相当する解雇予告手当が必要です。たとえば、10日前に予告するなら20日分の手当が要ります。

判断は、設定された試用期間の長さではなく、実際に14日を超えて働いているかどうかで行われます。

また、予告や手当があれば自由に解雇できるわけではありません。試用期間中でも、合理的な理由なく解雇することはできません(労働契約法第16条)。本採用を拒否することも、裁判では解雇と同じように扱われてきました。つまり、会社側にもそれなりの理由と手続きが要ります。「試用期間だから、いつでも切れる」という会社は、法律の理解が怪しいと考えたほうがいいかもしれません。

ここで大事なのは、身構えることではありません。試用期間は、双方が確認する期間だということです。会社があなたを見るのと同じように、あなたも会社を見ていい。研修の量、先輩の教え方、残業の実際、評価の基準。3か月は、それを見るのにちょうどいい長さです。

3. 最初の1か月:聞くことを、遠慮しない

1か月目にやることは、覚えることではありません。聞くことです。

分からないことを分からないと言える人は、この時期に一気に伸びます。逆に、黙って抱え込む人が、いちばん危ない。分からないまま作業を進めて、最後に全部やり直しになる。これが、最初の3か月でいちばん多い失敗です。

聞き方には型があります。

1. 「今、少しお時間いいですか」と、相手の都合を先に確認する

2. 「この作業の、ここが分かりません」と、分からない場所を特定して聞く

3. 「こういう理解で合っていますか」と、自分の理解を復唱する

4. 教わったら、その日のうちにメモを見返して、1回だけ自分でやってみる

ポイントは3番目です。「分かりません」だけだと、相手はどこから説明すればいいか分かりません。自分の理解を一度出してから聞くと、話が早く終わります。これは、競技で言えば、フォームを直すときに「こう振っていますよね」と確認するのと同じです。

4. 2か月目:任された範囲を、自分で回す

2か月目に入ると、仕事が少しずつ任されます。ここで意識してほしいのは、任された範囲を、最後まで自分で回すことです。

やったことを報告する。終わらなかったら、どこまで進んで、何が止まっているかを報告する。判断に迷ったら、自分で決めずに、選択肢を2つ持って聞く。この3つができれば、この時期は乗り切れます。

特に大事なのが、悪い報告を早く出すことです。遅れる、間違えた、お客様に確認が必要になった。どれも、早く言えば小さい問題で済みます。1日遅れると、取り返しがつかなくなります。報告が遅い人は、能力の問題ではなく、信頼の問題になってしまいます。

報告は、型で覚えると迷いません。そのまま使える3つを書いておきます。

場面そのまま使える言い方
終わったとき「◯◯、終わりました。確認をお願いします」
終わらないとき「◯◯は△△まで進みました。□□で止まっています。進め方を確認させてください」
間違えたとき「◯◯で間違えました。いま、こう直しています。お客様への連絡が要るかもしれません」

3つに共通しているのは、事実・現状・お願いの順で話していることです。感想や言い訳を先に置くと、聞いている側は何をすればいいか分かりません。

5. 3か月目:評価面談で、何を話すか

3か月目には、試用期間の評価面談があります。ここで聞かれることは、だいたい決まっています。

・この3か月で、できるようになったことは何か

・まだできないこと、不安なことは何か

・職場のことで、改善したほうがいいと思うことはあるか

1つ目は、具体的に答えてください。「だいぶ慣れました」ではなく、「この作業は、1人で最後までできるようになりました」と、作業の名前で答えます。2つ目は、正直に言ったほうが得です。できないことを隠しても、そのあとで困るのは自分です。3つ目は、遠慮しなくて構いません。入ったばかりの人の指摘は、いちばん新鮮です。

そして、忘れずに確認しておきたいのが有給休暇です。労働基準法第39条では、雇い入れの日から6か月間続けて働き、その間の全労働日の8割以上出勤していれば、原則として10日の年次有給休暇が付与されます。試用期間も、この6か月に含まれます。ただし、勤務日数や時間が少ないパートなどの場合は、付与日数が異なります。

6. 3か月目に、辞めたいと思ったら

3か月目の評価面談の前後に、辞めたいと思う人がいます。珍しいことではありません。ただ、その理由を一度分解してください。

多いのは3つです。仕事が合わない、疲れが取れない、人が合わない。この3つは、対処の仕方が違います。仕事が合わないなら、配属や担当の変更で解決することがあります。疲れなら、休めば戻ります。人が合わないなら、距離の取り方で変わります。どれも、辞める前に試せる手があります。

だから、辞めたいと思ったら、まず1週間休んでください。有給がまだなくても、体調不良として休むことはできます。休んで、それでも同じ気持ちなら、次に進むことを考えればいい。

そして、辞めるかどうかを1人で決めないでください。会社の上司でも、家族でも、IforCの面談でも構いません。話してみると、理由が2つに分かれていることに気づくことが多いです。本当は続けたい部分と、どうしても無理な部分です。無理な部分が1つだけなら、多くの場合、配置や働き方で調整できます。

試用期間は、会社があなたを見る期間です。同時に、あなたが会社を見る期間でもあります。合わないと判断して辞めることは、失敗ではありません。ただ、疲れているときの判断は、あとで後悔しやすい。そこだけ、気をつけてください。

よくある質問

試用期間中に辞めることはできますか。
できます。民法第627条により、契約期間の定めのない雇用は、2週間前に申し出れば辞めることができます。ただし、仕事を引き継ぐ人のことを考えると、1か月前には伝えたほうがいい。辞めるかどうかを1人で抱えず、IforCの面談で相談しても構いません。
試用期間が延長されることはありますか。
あります。ただし、延長するときは、理由と新しい終期を書面で伝えるのが筋です。「なんとなくもう少し様子を見たい」だけで延ばすのは、トラブルのもとになります。延長を言われたら、理由と、何ができれば本採用なのかを確認してください。
研修がほとんどなくて、放置されています。
よくある話です。人の少ない会社ほど、教える余裕がありません。ただ、放置と放任は違います。自分から「この順番で覚えていいですか」と提案して、確認を取りながら進めてください。それでも改善しないなら、IforCに相談してください。求人票と実際が違う場合は、こちらから会社に確認します。
「分からない」と言うと、評価が下がりませんか。
下がりません。下がるのは、分からないまま間違えることです。ただし、同じことを3回聞くのは考えものです。1回目はメモを取る、2回目は自分でやってみる、3回目は「前回こう教わったのですが、この場合はどうですか」と聞く。この順番なら、印象は悪くなりません。

まとめ

最初の3か月は、4つのことだけ押さえてください。

1つ、試用期間の条件を、入社前に書面で確認する。

2つ、1か月目は、分からないことを分からないと言う。

3つ、2か月目は、任された範囲を最後まで回して、悪い報告を早く出す。

4つ、3か月目は、できるようになったことを作業の名前で話す。

競技を続けてきた人は、毎日同じことを積み上げることに慣れています。その積み上げ方は、この時期に生きるはずです。最初の3か月で問われるのは、才能ではなく、その積み上げ方です。

参考・引用元
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