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競技経験の翻訳

「頑張ってきました」の中身を、まだ誰にも話していない — 体育会系が就活の前にやるべき、キャリアの棚卸し

2026.9.29 / 解説 / 読了 5分 / 文:IforC 編集部
※写真はイメージです
部活を続けてきた人ほど、自分のことを話すのが苦手です。「継続力」「チームワーク」と書いたところで手が止まる。それは経験が足りないからではなく、経験を言葉にする時間を一度も取ってこなかったからです。次に何をするかを決める前に、まず自分を棚卸しする。その方法を書きます。

体育会系の就活で、よく起きること

面接で「学生時代に力を入れたことは」と聞かれて、「部活です」と答える。続けて「何を頑張りましたか」と聞かれると、「毎日の練習を休まず続けました」「チームのために声を出しました」。

嘘ではありません。ただ、面接官には同じ答えが一日に何度も届いています。

体育会の学生や、競技を離れたばかりのアスリートと話していると、よく似た場面に出会います。

・自己PRが「継続力」「忍耐力」「礼儀」で止まってしまう ・練習と試合で毎日が埋まっていて、自分について考える時間がなかった ・進路の話をするのは監督か家族くらいで、外の大人と話した経験が少ない ・「どんな仕事がしたいか」と聞かれても、知っている仕事の数がそもそも少ない ・引退してから就活を始めて、周りとの差に焦る

どれも、本人の能力の問題ではありません。経験はある。足りないのは、その経験を棚卸しして言葉にする作業です。

経験はある。足りないのは、その経験を棚卸しして言葉にする作業です。

棚卸しとは、何を並べることか

キャリアの棚卸しというと大げさに聞こえますが、やることは「自分の在庫を出して並べる」だけです。並べるものは4つあります。

棚卸しで並べる4つ
特徴
自分はどんな人か。せっかち、慎重、人前が好き、一人で黙々とやるのが好き。良し悪しの判断はまだしません。
強みと弱み
「継続力」で終わらせず、どの場面で何をしたかまで降ろします。「3年間スタメンを外れていた時期に、何をしていたか」は、試合で活躍した話よりも強みがよく見えることがあります。弱みも同じで、「話すのが苦手」なら、どんな場面で苦手なのかまで書きます。
人脈
部の先輩・OB、指導者、トレーナー、対戦相手、遠征先で知り合った人。体育会の人は、自分が思っているより多くの大人とつながっています。ただ、それを「人脈」として数えたことがないだけです。
経験した役割
キャプテン、副キャプテン、主務、学年リーダーといった肩書きだけではありません。「試合に出られない選手をまとめていた」「新入生の面倒を見ていた」「監督と選手の間で話を通していた」。肩書きのない役割にこそ、その人の向き不向きが出ます。

紙1枚に、この4つを書き出してみてください。最初は埋まらなくて構いません。

怪我をしていた時間に、何をしていたか

棚卸しでぜひ書き出してほしいのが、怪我や故障で競技から離れていた時期のことです。

試合に出ていた頃の話は、誰でも話せます。けれど、練習に参加できない、チームが自分抜きで動いている、復帰できるかも分からない。そういう時間に何をしていたかには、その人の素の姿がいちばんよく出ます。

リハビリの計画を自分で立てて、毎日記録をつけていた人がいます。外から試合を見て、チームの課題をノートにまとめていた人がいます。後輩の練習を手伝ったり、マネージャーの仕事を引き受けたりした人もいます。反対に、何も手につかず、しばらく部から離れていた人もいるでしょう。それも正直に書いてください。

振り返るときは、次の3つを書き出してみてください。

・そのとき、何がいちばんつらかったか ・その時間を、実際にどう過ごしていたか ・復帰したとき、あるいは復帰できなかったとき、何が変わったか

思うようにいかない状況で、自分はどう立て直すのか。周りのために何ができるのか。これは、社会に出てから何度も直面する場面そのものです。そして競技を離れて働くこと自体が、ある意味では「怪我のあとの時間」の続きでもあります。思うようにいかなかった時期の過ごし方は、自分の強みを知るいちばんの材料になります。

思うようにいかなかった時期の過ごし方は、自分の強みを知るいちばんの材料になります。

自分のことは、自分だけでは見えない

棚卸しをひとりでやると、たいてい途中で止まります。当たり前にやってきたことは、本人には特別なことに見えないからです。

毎朝誰より早くグラウンドに来ていた人は、それを「普通」だと思っています。後輩の相談に乗っていた人は、それを「役割」だと思っていません。

だから、他人と話す時間を意識してつくることが必要です。チームメイトに「俺って、部の中でどういう存在だった?」と聞いてみる。OBに就職してからの話を聞いて、自分ならどうするかを考える。キャリアの相談相手に、部活の話を最初から最後まで話してみる。

人に説明しようとすると、自分の経験に順番と理由がつきます。相手からの「それ、なんでやったの?」という一言で、自分でも気づいていなかった動機が出てきます。自己分析は、机に向かうより会話のほうが進むことが多いのです。

見えてくるのは「どのポジションか」

棚卸しをして、人と話すと、自分がチームの中でどこにいた人なのかが見えてきます。

前に出て引っ張る人。全体を見て調整する人。一人で黙々と技術を磨く人。裏で仕組みを整える人。

競技でポジションに向き不向きがあるように、仕事にも向いている役割があります。棚卸しの目的は、立派な自己PRをつくることではなく、自分のポジションを知ることです。

棚卸しの目的は、立派な自己PRをつくることではなく、自分のポジションを知ることです。

ポジションが分かると、仕事の見え方が変わります。「営業がいいか、事務がいいか」という職種の比べ方ではなく、「自分は人を動かす役割で力を出せるから、この会社のこのポジションなら活きる」と考えられるようになります。

どこへ向かうかを、先に決める

ポジションが見えたら、最後に目標を置きます。

競技をしてきた人は、目標から逆算することには慣れているはずです。大会に向けて、いつまでに何を仕上げるかを決める。それと同じで、「3年後にどんな役割を担っていたいか」を先に決めると、最初の会社選びの基準がはっきりします。

目標は大きくなくて構いません。「チームをまとめる立場で仕事がしたい」「一つの専門を持って、それで頼られる人になりたい」。それだけで、受ける会社も、面接で話すことも変わります。

まとめ

・体育会系に足りないのは経験ではなく、経験を言葉にする時間 ・棚卸しは「特徴」「強みと弱み」「人脈」「経験した役割」の4つを並べるところから ・怪我で競技から離れていた時期の過ごし方に、その人の強みがいちばん出る ・自分のことは、他人と話すことで見えてくる ・棚卸しの目的は、自分が向いているポジションを知ること ・ポジションが見えたら、どこへ向かうかの目標を先に置く

次に何をするかを、ひとりで決めなくていい。IforCでは、体育会の学生やアスリートの方の自己分析・自己PRづくりを、面談で一緒に進めています。部活単位でのご相談も受け付けています。

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